生きねば
これは、堀越二郎という実在の人物と、
『風立ちぬ』(著:堀 辰雄)という小説を基に
スタジオジブリの宮崎駿監督が作り上げた新しい物語。
ノンフィクションの部分もありながら、フィクション。
幼い頃、飛行機に乗る事を夢見た二郎少年は、
自身の極度の近眼のせいで、それを諦め、
その代り、飛行機を作ることを夢見た。
成長し、飛行機の設計技師となった二郎だったが、
幼い頃の「鳥のように空を飛びたい」という夢は
《時代》という抗いようのない流れに押し流され
それは、「戦闘機」という形に代わってしまった。
「一機も返ってはきませんでした」
映画の最後に、次郎がつぶやく言葉・・・・・。
鳥のように大空高く飛び立った飛行機は、《時代》に翻弄され、
多くの命をも巻き込んで、消えてしまった。
小説『永遠の0』(著:百田尚樹)の中で、零銭に乗る兵士が
「生きて返る」ことを常に考え、操縦席に座り戦闘に向かったシーンを思い出した。
もしかして、堀越二郎氏が設計した戦闘機に、この兵士は乗っていたかもしれない。
作る側も、操縦する側も、同じ思いを持っていたであろうに、
何とも、辛い悲しい現実が、そこにはあったのだ。
これが、まぎれもない過去の事実。
映画「風立ちぬ」を、お盆休みに観てきた。
話題の映画だったけれど、意外に観客は少なくゆっくりとじっくりと
エンドロールが終わるまで、堪能させてもらった。
荒井由実の「ひこうき雲」の主題歌が、この映画ととてもマッチしている気がして
単純に観てみたい!と思って行ったのだけど、バームクーヘン、久しぶりに
映画を観て、最後にホロっと涙してしまった。
その理由は、前述の通り。
飛行機に憧れた少年と、飛行機に乗り、敵に向かった青年兵士。
それらが、リンクしてホロっと。
それ以外にも、自分とオーバーラップするシーンなどがあり、さらにホロっと倍増。
映画の賛否はどうやら、両論のようだけど、
バームクーヘンは、結構、気に入った。
「崖の上のポニョ」や「となりのトトロ」のような子供も楽しめるジブリ作品ではなく
大人がホロっとなるジブリ作品だと思えた。
もちろん、賛否両論だと思いますが・・・・・。
もしかしたら、『永遠の0」を読んでいなければ、
ここまでホロっとはしなかったかもしれないけれど
でも、どちらも観て読んだからこそわかる「何か」が
ホロっとさせたのには、間違いない。
どちらも、お勧めです。
最後に・・・・・
映画「風立ちぬ」も『永遠の0』も、キーワードは、ひとつ。
「生きねば」
♪追記♪
この「風立ちぬ」の映画で、堀越二郎が喫煙するシーンがよくあり
それを禁煙団体が、宮崎駿監督にクレームをつけたとか・・・・・。
観る視点が違うと、こうまでも違うのかとちょっと驚いた。
世の中は色々な人がいるのだな・・・・。
なるべく、これからこの映画を観る方を配慮して、ネタバレを最小限にしたつもりですが
どうぞ、お許しくださいね。
因みに、「永遠の0」も近々映画化され公開予定だそうです。見に行こうかな・・・。
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